そして青空は永遠に晴れたまま。

奇跡の2.5次元役者・浜尾京介の芸能活動復帰をのんびり待機中。

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青空本編完全ネタバレ感想その12です。
これまでの感想はこちら。→ 【その1】 【その2】 【その3】 【その4】 【その5
その6_a】 【その6_b】 【その6_c】 【その7】 【その8】 【その9】 【その10】 【その11



まずはお約束の長ーい注意書きから。
駄目だなって思ったら、即引き返して読まないでください。




※映画版『あの、晴れた青空』の完全ネタバレになります。
※映画化されていない他の原作エピソードも遠慮無くネタバレします。
※映画撮影時のメイキング的なエピソードも随時盛り込みます。
※映画版青空に関係無い話題にも必要があればどんどん脱線します。
※原作・映画版ともにギイタク至上の主観的感想です。
※あくまでも根本的には腐女子が書く感想です。お察しください。
※なので、ギイタクのラブシーンは当然ですが大好物ですw




こちらの【青空あらすじまとめ】の流れに沿って感想を書いていきますのでよろしければご参照ください。






(29)
スヌーカー大会とほぼ同時進行で、託生の様子も描かれていきます。こちらは目的の駅に時間通り到着し、ホームのベンチに一人座っています。託生は先程の三洲とのやりとりを思い出していました。以下、(27)の続きの場面回想です。トトカルチョで一番人気のギイ。だが崎にはに一票も投じていないと言い切った三洲。託生が素直に「どうして?」と訊くと、三洲の口から驚きの事実が告げられます。「何故なら、あいつの外出許可申請が昨日の時点で撤回されていなかったら」月曜日の午前中に提出されたっきりそのままになっているんだ、と言われて、託生は目を瞠ります。ここでさらに昨日の学生課での三洲の回想。(25)の場面の続きです。託生の申請書よりもすこし前に、ギイの外出許可申請書を見つけた三洲。その書面に記入されていたのは6月9日月曜日8:25―託生が申請書を提出したのは火曜日の放課後ですから、ギイは託生が戻ってこなかった月曜の晩よりも前に外出するつもりでいたのだということ。三洲には託生の外出理由が兄の墓参りであったことと合わせて、今回の託生とギイ二人の揉め事の全容がこの時点で大体予想出来たのでしょう。このことを聞かされて、託生はギイの想いを理解します。ギイは自分と約束するよりも前から、本気で一緒に兄の墓参りへ行こうとしていたんだと。それは思うだけではなく、実際にそうするべく、自分には告げずにちゃんと行動に移していたんだと。託生の心は揺れます。本気で兄の所に行こうとしてくれていたギイに、自分は酷い言葉と態度をぶつけてしまった。揺れる託生をさりげなく助けてくれたのは…三洲なんですね。何度も電車の時間を尋ねて、11時半ギリギリまでなら駅で待つことが出来ると確認します。「…でも、時間が来たら乗っちゃうよ」と強がってみせる託生に、構わないがそれを崎に教えてやってもいいか?と、駄目押しのように訊いてくれるんですね。三洲の言葉に、彼の思いやりを感じたんでしょう。託生はようやく素直に、うん、と頷きます。それをみた三洲はどこかうれしそうに言うんです。「これで崎への貸し、三つだ」



この場面、会話する託生と三洲の横顔が交互に映されるカット割りになっているので、二人の表情変化が楽しめます。ギイの真意を三洲から知らされて驚き戸惑いながらもギイへの募る想いを隠せない託生の表情は、浜尾託生の美しい横顔と相まって非常に印象的です。特に「時間が来たら乗っちゃうよ」は言い方も含めて最高に可愛い!!!! 原作でも台本でもここは「時間が来たら(電車に)乗るよ」なんですが、「乗っちゃうよ」にアレンジされたのは浜尾託生の言い回しならでは、でしょうね。そして三洲もね、託生をみつめる顔がこの場面明らかにやさしい。彼はきっと弱っているものにやさしいんだろうね。試写会で数々の話題を呼んだ「貸し三つだ」の三洲アップはこの次の回想までおあずけ(笑)。




(30)
ここから次のジュンプラ回想を挟んでギイvs三洲の試合場面と駅でギイを待つ託生の場面が交互に入れ替わって進んでいきます。細かい繋ぎなので番号は振りません。スヌーカーは三洲が有利に試合を進めていきます。時間を気にしたり、ショットをミスって苛立ったり、明らかに焦っていたりする実に珍しい様子のギイがみられます。きっとギイの脳裏には駅で自分を待っているであろう不安げな託生の姿がありありと思い浮かんでいたのでしょう。一刻も早く駆けつけて顔がみたい、安心させてやりたい、抱き締めたい。でもわざと試合に負けたら託生はきっとギイを許さないこともわかっていたはずで、そんなギイの葛藤を、三洲が本気で試合に挑んできたことによって打ち崩してくれるんですね。追い込まれるギイ、でも託生と交わした約束を守るタイムリミットはどんどん迫ってきます。


一方、駅でひたすらギイを待ち続ける託生。予定していた10時の電車はとっくに出発し、何本か電車を見送ります。そのたびに時計が画面に映し出されて、11時半が近づいてくるのを観ている側にも感じさせるんですね。託生の気持ちにシンクロしてドキドキします。早くギイ早く来てあげてよ〜!!!! って。こんなに儚げにさみしそうに一人でいるんだよ!! またこの駅がね〜すんごい寒そうなの。一応設定は6月なのにどうみても冬景色(笑)。しかもめっちゃ囂々と鳴り響く凄い風の音がしていて、託生の心細さに拍車を掛ける感じ。この駅のシーン、託生の髪の毛がぺったんこになってたから相当風が強かったんだと思います。そのせいで時間軸では前後になる270号室での場面と託生の髪型が全然違うのね(笑)。いや、撮影した日も勿論違うんですけどね。朝は快晴だったのに駅に着いたらどんよりだし。そこはほら、託生の心情に合わせて15日の天候は変化していくんだ、と良い方に解釈。


ベンチに座ってギイを想いながら、託生は一年前のあの日のことを思い出すのです。




(31)
一年前、305号室。(21)の続きで「June Pride」のエピソード、いよいよ核心部分です。貧血で倒れて気を失っていた託生がベッドで目覚めます。ここで覚醒する託生が可愛い。右手で目を擦る仕草は『虹色の硝子』でギイのベッドにこてんっとなったときと同じですね。懐かしさを感じるとともに、あ、これってはまおさん自身の癖でもあるのかと思って萌えます。託生が身体を起こして辺りを見回し、自分が305号室にいるんだとぼんやり確認しているとドアの開く音がしてカメラがそちらに動きます。託生のために夕飯を持って戻ってきたギイは託生を気遣って音を立てないようにそっと室内へ入ってきます。机に食事のトレイを置いて、ベッドの上に横たわる託生をみつめるギイ。託生は慌ててもう一度寝たふりをしていました。ギイはゆっくりベッドに近づきその端に腰掛けてしばらく託生をみつめると、「まだ起きるなよ」と囁きながら託生に覆い被さってくちづけます。ギイからのキスに、思わず甘い声を漏らして託生は応えてしまうのです。これで託生が起きていると気づいたはずなのに尚もキスを続けて深く重ねようとするギイを託生は力一杯押し退け、「嫌だよ、ギイ!!」と拒絶するのでした。


このとき、ベッドの上でギイから離れようと後ずさる託生の酷く怯えた様子が演技超えてる感じがしたんですよね。なんかリアルだわって感心しました。なかなかあの動き出来ないよ。ジュンプラの、精神的に追い詰められた託生がまさに憑依してるからこその動きなのかな。一度は振り払われたギイですが、再び託生をベッドに力ずくで押し倒して組み敷きます。ここ、カメラがギイの背後からのアングルなので、どんなに切羽詰まった顔して託生に迫っているのかみえないのが非常に残念です。そしてギイを押し退けようと必死で藻掻く託生も本気で抗っているのがはまおさんの上腕筋の張り方でわかるんですよ。凄い力入ってる(笑)。そんな託生の必死の抵抗をギイは両手を顔の脇に押さえつけることで封じて言うんです。「嫌だなんて言わせない。今わかった、この方がいいんだ」「託生にだってわかっているはずだ。こうするのが一番いいんだ」不意のキスに甘く応えてしまった託生でギイは察したんですね。今までは託生の心と身体がともにギイを求めてくるまで待っていたけど、待っているだけじゃ駄目なんだと。それじゃあ一生託生のすべては手に入らないんだと。音楽堂で半ば強引に嫌悪症だった託生にキスをしたように、その先の関係も自分が強引に押し開かなければ託生との恋愛は進まないのだと、この一瞬の託生の反応でギイにはわかったんでしょうね。



託生が後ずさる程怯えていたのは、自分を無理矢理抱こうとするギイが怖かったからではないと私は思います。怖かったのは、ギイのキスに甘く応えてしまった自分の反応の方で、嫌がってはいないとギイに知られてしまったことが怖かったんだと思います。それはずっと隠し続けてきた自分の過去を知られてしまうことに繋がるから。精神的に不安定になるくらい、失っては生きていけないと思い詰めるまでにギイのことを愛しているのに、2ヶ月も同室で生活していながら恋人としての欲望を受け入れられなかったのは、自分たちが同じ男同士だからという理由では無いんです。それは託生が、自分がはじめてじゃないから、なんですね。このあたりがなんとも作者が女性脳すぎるというかタクミくんシリーズの実にファンタジーなところだよなあって思うんですけれども(笑)。託生は自分が男に抱かれるのがはじめてじゃないから、それをギイに知られることで彼の愛情を失ってしまうことが怖かったんですよね。原作の「若きギイくんへの悩み」のなかに、「抱かれたら、初めてじゃないと、すぐにわかってしまうだろう」、という一文があります。……んー男同士でもそれわかっちゃうものなのかなあ? それともすぐわかってしまう程まで託生ってば開発され……(自重)いやいやいや。こういう託生の乙女思考は、作者のせいとはいえ、ジュンプラ最初に読んだときから若干の引っ掛かりがあったワケですが、それをはまおさんが演じるとまあ見事に違和感が無くなってしまうのが映画タクミくんにおける浜尾託生の恐ろしい、いや、凄いところだ(笑)。




スヌーカーの試合とジュンプラ回想の途中ですがとりあえず今夜はここまで。