そして青空は永遠に晴れたまま。

奇跡の2.5次元役者・浜尾京介の芸能活動復帰をのんびり待機中。

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青空本編完全ネタバレ感想その11です。物語はクライマックスの6月15日へ向けて徐々に加速していきます。




これまでの感想はこちら。→ 【その1】 【その2】 【その3】 【その4】 【その5
その6_a】 【その6_b】 【その6_c】 【その7】 【その8】 【その9】 【その10




まずはお約束の長ーい注意書きから。
駄目だなって思ったら、即引き返して読まないでください。




※映画版『あの、晴れた青空』の完全ネタバレになります。
※映画化されていない他の原作エピソードも遠慮無くネタバレします。
※映画撮影時のメイキング的なエピソードも随時盛り込みます。
※映画版青空に関係無い話題にも必要があればどんどん脱線します。
※原作・映画版ともにギイタク至上の主観的感想です。
※あくまでも根本的には腐女子が書く感想です。お察しください。
※なので、ギイタクのラブシーンは当然ですが大好物ですw




こちらの【青空あらすじまとめ】の流れに沿って感想を書いていきますのでよろしければご参照ください。






(24)
場面は変わってもう一度270号室。時間ピッタリに三洲が戻ってきました。仲直りしてイチャイチャしてるところを邪魔してやろうと狙っていたのに、と言う三洲。原作では、「冗談なのか本気なのかわからない口調」で言ったと描写されていますが、確かにここの三洲は別段からかう風でも無くて、その真意を読ませない感じですね。三洲らしいといえば三洲らしいかもしれません。おお、コレ、私にしては褒め言葉よ(笑)。これは三洲なりの託生への気遣いだったのかもしれませんね。三洲なら部屋に戻って託生の様子をみれば、瞬時にギイとは仲直り出来ていないことを察すると思うので。おそらくあのあと一人でひとしきり泣き疲れた託生は、三洲の言葉に反応するだけの気力ももうありません。声とか口調とか、あからさまに弱ってるんですよここの託生ね。三洲にこれだけ弱った姿を晒せるというのは、好きか嫌いかはさておき三洲のことを信頼している証拠でしょう。実際、原作の青空本文にもその旨の記述があります。


すでにパジャマに着替えて就寝準備を済ませた託生は、今度の日曜日外出すると告げもう寝ると言います。そんな託生に、「日曜日、崎と出かけることになってたとか?」と鎌をかけてくる三洲。託生は思わず動きを止め、反応であっさり認めてしまいます。デートがキャンセルされて不機嫌だったのか、と言われて、託生は、まあそんなところとあやふやな答えで誤魔化すのですが、三洲にそう言われたことで、他人にしてみれば他人の家族の墓参りに一緒に行くなんて約束は、所詮その程度なのかもしれないと思ったのかも。元気無くベッドに潜り込んだ託生のモノローグでも、ギイとのあいだに認識のズレがあったのかもしれない、どんな気持ちでギイを誘ったのか、きっとわかってもらえてなかった、と言っています。このとき、本当に傷ついた表情をしていて痛々しい。


託生が「おやすみ」と言っても、三洲は机に向かったまま返事をしただけで勉強を続けています。個人的には、このとき三洲にチラリとでもいいから託生の方を振り返って見ておいてほしかったかな。いつもと違う託生の様子が気になっているんだというわかりやすい描写が、美貌のときに眠れない託生の様子をベッドから半身起こしてまでして見つめていたぐらいのあのわかりやすさがほしかったかなって思います。その描写が次のシーンに上手く繋がって、三洲が託生のために動く理由付けにもなったと思うので。




(25)
6月14日土曜日。託生の兄の命日と、スヌーカー大会の前日です。学校の図書室で、三洲が提出された日曜分の外出許可申請を調べています。まずは託生の申請書をみつける三洲。ここで三洲は託生の日曜の外出目的が兄の墓参りであることを知ったでしょう。数枚めくったあとの申請書に、ある意味予想通りの名前をみつけて、さらにそこに書かれていた内容に三洲の表情が変わります。




(26)
その日の夜。真っ暗な270号室の窓から空ををみつめる託生。窓ガラスには激しい雨が打ち付けられていて、託生の心そのままの土砂降りです。ここの託生、視線を落としていくにつれてどんどん悲しい顔になっていくんです。雨に良い思い出など無い託生です。明日もこのまま雨なのか、と。そしてやっぱりギイを想ってせつなくなっているんでしょうか。



そして物語はいよいよ6月15日当日を迎えます。




(27)
6月15日、日曜日。前夜の雨が嘘のように真っ青な空が広がるいい天気です。けれど270号室の窓から晴れた空を見上げる託生の表情は以前として暗く硬いまま。木曜の晩にギイの言葉をすべて拒絶したまま、託生は一人でこの日を迎えてしまいました。そんな託生に、三洲が身支度をしながら電車の時間をあれこれ細かく確認してきます。訝しんだ託生が何故そんなに詳しく訊くのかと尋ねると、月曜の晩、ギイの部屋に泊まって戻ってこなかったことを持ち出され「同室者の動向、把握してないとまずいだろ」と返されてなんだか藪蛇ですw でもそこで変に誤魔化したりせず「あの節は、ありがとうございました」と素直にお礼を言えるのが託生のいいところ。だからこそ三洲も託生には鉄壁の外面を逸脱させてまでついつい構ってしまうんでしょうかね。ここでも「まだ仲直りしてないのか?」なんて言ってギイの話題を振ります。託生の様子をみれば、あの晩から事態が好転していないことは同室者の三洲にはお見通しでしょうから。三洲に言われて託生は「仲直りもなにも、ぼくが一方的に怒っているだけだから」、そう寂しそうに微笑むんです。しょんぼりした託生はまるで飼い主とはぐれた子犬のよう。この言葉からわかるように、託生は今回ギイが悪いとは思っていないんですよね。ギイが望んでこうなったのではないことも、ギイが自分に言おうとしていた言葉も含めてきっと理解は出来ているんです。ギイのせいじゃない、ただ、どうしてもこの約束違反だけは許せない。その頑なさは自分でもどうしようもない。わかっていてどうしようも出来ないだけに、託生は自分の想いの袋小路に入ってしまった。自分が怒っているだけだと言いながら気落ちしたようにうつむいた託生に、三洲が言います。スヌーカー大会の裏で盛り上がるトトカルチョ、優勝の一番人気は崎だが自分は一票も投じていない、と。「どうして?」疑問に思う託生の横顔で、この場面は途中で一旦終了。



託生とギイのあいだに起こった今回のすれ違い、実はこのまま二人が別れることになってしまってもおかしくない程の重大事だったと思うんです。それは託生が、自分の頑なさがここまでこじれている原因だとわかっていながらそれでもどうしてもギイのことを許せない、というところが大きくて、二人の関係がどうなってしまうのかの主導権は託生にあります。託生がギイを許せない限り、二人の恋愛はおそらく継続出来なかったんじゃないかなあ。


前の感想記事でも書きましたが、青空は託生が自分の事情でギイを振り回す話です。袋小路で身動き出来なくなった託生の気持ちを光差す出口へと導いてくれる、その役割を果たすのがやっぱり三洲なんですね。美貌ではギイの気持ちを託生へ向き合うようけしかけ、今回は託生の気持ちを救ってくれる。…まあ本当に美味しいとこどりだコトで。そんな三洲の活躍ぶりはこのあとの場面でたっぷり描かれます。




(28)
場面は変わって祠堂学院内のスヌーカー大会会場。……校内施設にスヌーカー台が3つもあるような学校ってどうなのよ〜お坊ちゃま学校め。学園のプリンス・ギイの試合として考えると活気に欠けるギャラリーに囲まれながら(それでもモブ生徒のすくなさを出来るだけ感じさせないように撮る工夫をしているのはさすがですが)ギイが対戦相手を待っています。そこへ満を持して三洲が登場。まさかの生徒会長様にざわつくギャラリー。ギイと三洲が無言で睨み合います。ギイの視線は三洲の意図を探るかのようでもあります。そしてそんな二人を固唾を呑んで見守る赤池と簑巌と真行寺。



この場面、ギイにズームアップするのと、ギャラリーを掻き分け姿を現す三洲の登場カットに時間を速回しにして瞬間移動するかのような特殊効果がSEとともに使われているんですが、まあこれがタクミくんシリーズの世界観に合わないこと甚だしい。何故こんな効果使った?! 青空唯一の不満と言えばこのシーンの特殊効果です。(8)と(18)の託生の心音効果は百歩譲って許せたとしても、ここでギイと三洲になんでこんな妙ちきりんな効果使っちゃったの。ホントにね、この効果を入れた意図が私には理解不能。凄い二人の対決なんだぞ、ってことなの? いや、別に普通に三洲が登場するだけでも十分に驚きの展開だと思うけどなあ。ここはぶったぎらせてもらいますけど正直狙いすぎたしやりすぎたね。演出過剰すぎです。



でも、ギイと三洲の対峙は見応えありますよ。あいだに託生を挟んでの二人の対決です。次のシーンのネタバレになりますが、この段階で三洲はギイに託生が駅で待っていることを果たして伝えているのかどうか。試合後にそんな時間は無かったので、おそらく試合の前にどこかですれ違い様耳打ちぐらいはしてるかも? とか思ってるんですけれども、対戦相手で現れた三洲とギイ、睨み合うこのときの二人が、互いに託生のことを考えているのだとしたら、ここで睨み合う彼らの表情の意味もまたすこし変わってきて実に味わい深い場面になります。台詞で説明するのでは無く、視線で表情で語らせる。これぞ横井マジックの醍醐味ですね!!





ここまでで大体残り4分の1といったところですが、このあとにはクライマックスのジュンプラ回想シーンが控えています。い、いつになったら終われるんだ……? もうひとがんばり、ラストスパート!!