110703
映画タクミくんプチコラムその21。
〝フィクションとリアルの絶妙なバランス〟
温室でのギイタク再会ハグチュッチュ@青空について追記。
……まだ書き足りなかったんかーい、と言われそうですが、そうなんです。語り忘れていたことを思い出したのでまだ書くよお〜(笑)。というコトで、現在進行中の青空本編感想、その追記ではありますが、内容的にちょっとプチコラム向きかなと思ったのでこちらのカテゴリーで。
※映画版『あの、晴れた青空』ネタバレが含まれます。注意!!
温室のシーンが青空撮影初日だったことは、感謝祭で判明して以降、メイキングDVDや試写会等でも結構しっかりと触れられていますよね。『あの、晴れた青空』という作品のなかで一番最初に撮られたのが、まさに託生とギイの再会シーン……例のハグチュッチュだったワケです。
この件に関して、青空試写会の何回目だったかはちょっと失念しちゃいましたが、大ちゃんと横井監督が言っていたことを自分なりに補完し解釈しつつ書いてみます。
クランクイン最初のカットが託生とギイの再会シーンということについて、たとえば1〜2ヶ月でも恋人と逢ってなかったら再会したときに一体どんな表情や反応をするだろうかと。それは特別なことでは無く誰にでも当てはまる感情だけに、撮影のときに監督と話し合ったらしく、そこで映画での設定として、託生とギイが二人で逢うこと自体かなりひさしぶりなんだと自分たちで決めたんだそうです。
託生とギイを演じるはまおさんと大ちゃんにしてみれば、2009年秋の美貌撮影後、メインからは外れたスピンオフ的なぴゅあを挟んでの今回の青空。ぴゅあでは撮影に携わった期間も短く、彼らが託生とギイとして美貌程のガッツリな恋愛に取り組むことも無かった。つまり美貌以降、彼らは役としてはかなり身も心も恋愛モードからは離れてしまっていた。美貌から青空までの約16ヶ月、リアルに会えない時期があった上での青空クランクインが、あの温室でのひさびさのギイタク逢瀬だったワケです。ぴゅあでは一日だけでしたものね。まさにお前らが一年一度の織姫と彦星だっての(笑)。
そうした彼らのリアルでの〝ひさびさ感〟が、青空作品内での託生とギイの状況とちょうど上手いことリンクして、本当にひさびさに逢えてうれしい楽しい大好き!!!! という託生とギイの感情が、あの温室でのファーストカットに満ち溢れたんだろう、と。
これを聴いて思ったのは、温室でのギイタク再会シーンがこの作品のクランクイン初日、その最初の撮影に選ばれたのは、大ちゃんのスケジュールも関係していたとはいえ、作り手側の役者に対する粋な計らい、且つ、緻密な計算だったんだろうなあということ。
ムビコレさんのタクミくん感謝祭動画で、はまおさんがこんなふうに言っていました。
(以下、ムビコレ動画より引用)
「ひさしぶりに温室でギイと託生が会うシーンはやっぱり、演じている上でも
ドキドキしたというか……やってて、ああ、ギイが、ひさびさに託生に……
すごい僕も演じていてドキドキしました」
これね、ファンサービスでもなんでもない本当にリアルな感情だったんだと思います。なんせ憑依型のはまおさんですからね。託生が憑依したはまおさん自身のドキドキ感、あの場面に十分表れています。観ている側にも想いが溢れてくるシーンになりました。
また、大ちゃんはメイキング全員版のラストでこうも言っていました。
「託生とギイの、演じている部分での成長と、
役者浜尾京介・渡辺大輔のかけあいの成長、
そう言う部分での二つの成長を観ていただければ……」
これってまさにフィクションとリアルで二度美味しい、そういうことですよね?
フィクションのなかに役者たち自身のリアルを巧みに混ぜ込んでいく。それが出来上がった作品としてみたとき、画の圧倒的な説得力に繋がる。彼らが演じる託生とギイがここまでの支持を受けた最大の理由って、やっぱりフィクションとリアルの絶妙なバランス、これなんだろうなあ。
勿論受け取る側はこのフィクションとリアルの境目を勘違いしちゃいけないんですが、作り手が敢えてそこを混同させて商売しようとしてきているのも事実だと思うので……難しいところですよね。常に自重自戒しつつも、この萌えの線引きって本当に難しい。それを言ったら実写BLってもの自体がどうしたって罪深いわ(笑)。
虹色はきっと偶然だった。
美貌はわりと狙ってきた。
ぴゅあはそれに甘えすぎた。
そして青空は、――作り手も演じ手も、確信犯。
映画タクミくんシリーズ第五弾『あの、晴れた青空』
フィクションとリアルの絶妙なバランスが辿り着いた最終進化形。おそらくは空前絶後の、実写BL最高傑作だと私は断言します。