そして青空は永遠に晴れたまま。

奇跡の2.5次元役者・浜尾京介の芸能活動復帰をのんびり待機中。

101210

※原作・映画版『Pure』ネタバレしてます
※原作・映画版『Pure』を絶賛していません
※原作・映画版ともに三洲と真行寺を褒めていません
※原作・映画版ともにギイタク至上の主観的意見です



以上のキーワードで駄目だと思ったら読まないでください。

嫌なものを敢えて読むのはマゾ行為だぞ☆











私が『Pure』をあまり好きじゃない主観的な10の理由。




(1)元々シンミスが好きじゃない
(2)原作の「Pure」という話が好きじゃない
(3)昔惚れてた男と今惚れてる男を両キープで
   はっきりさせない三洲の態度が好きじゃない
(4)それまでと別人な「Pure」の真行寺が好きじゃない
(5)年齢差や体格差が逆転のBLが好きじゃない
(6)三洲の吐息混じりの喋り方が好きじゃない
(7)枯れてるお父さんみたいなギイは好きじゃない
(8)糸引くような生々しいキスシーンが好きじゃない
(9)三洲と真行寺の(横)顔が好きじゃない
(10)無理矢理分割したラストカットが好きじゃない




いやー結構大胆に出しちゃったねー……意外と10個出てこなかったよ。え、もしかして満足してるの? いやいや、アレコレ講釈並べたって結局のトコロすべては「ギイタクメインじゃないから好きじゃない」、で終了なんですけど(笑)。それじゃ話がふくらまないので、とりあえず10の項目について。



(1)〜(4)までは原作の問題。


(1)
原作からして私はギイタク至上だったので、途中から出てきたのに今や原作者までが気を遣う対象であるシンミスは正直脅威ですよ。だから好きじゃない。あと年下攻めもクール女王受けもあまり萌えない。


(2)
従って、シンミスが堂々メインを張った「Pure」という話も好きじゃない。原作ではギイタクの出番はそこそこ美味しいからそこだけいただく感じ。何回読んでもなにが誰が「Pure」なのか理解出来ない頭の悪さです。


(3)
もうこの文のまんま。昔惚れてた男が今は自分に気があるようでそれはまんざらでもないけど、今惚れてる男も当然手放したくない……こういうの私は駄目。どっちにもコナかけてるのが好きじゃない。三洲というキャラは、対託生の同室者モードのときは結構好きだけど、殊、彼のツンツンツンデレな恋愛モードはどうにも好きじゃないです。


(4)
「夢の後先」や「美貌のディテイル」の真行寺と「Pure」の真行寺って最早別人じゃないかと思うぐらい性格が違ってると思うのですが、これは原作者のなかでシンミスを一つのカップルの括りで考えたときに、攻めとしての真行寺の立ち位置を、メインエピの「Pure」でガラッと変えちゃってその設定変更の余波を受けてるんだとは思う。そういう意味では、美貌の美慎真行寺とPureの内藤真行寺というキャスティングはある意味正解なのかもしれない。別人だものね。



(5)〜(10)は映画版に関する問題。


(5)
そのままです。実写BLのカップルはまず見た目で安心したい私。映画版の託生とギイにここまでどっぷりハマったのは彼らの圧倒的な体格差、そして同じく圧倒的な年齢差によるものだと思っています。そういう意味で、映画版を原作本来のシンミスとみるなら好きじゃない。これが最初からミスシンとして撮っているなら話は変わってきますが。


(6)
元声オタの私のなかでは、ドラマCD版の石田彰演じる三洲が至高。なので、Pure試写会で前作は馬場三洲に憑いていたものを監督が「除霊した」と言っていたけど、除霊したはいいけど今度は違うなにかが憑いていたような気がしますよ。正直なところ、馬場三洲が一番原作の三洲らしいなと感じたのは、美貌の270号室で最初に託生と顔を合わすあそこです。あのシーンの飄々とした感じこそが私のイメージする三洲。これがギイとの直接対決になると、役者が意識したのか無意識なのか完全に手塚対決モードになるんで三洲に手塚の霊が取り憑いちゃうw今回は除霊した結果何故か吐息多めに喋るキャラになっていました。三洲ってあんなに溜めて吐息たっぷり喋るようなキャラじゃなくない? 今作では相楽先輩と電話しているシーンは「表」の三洲らしさが出ていた気はする。でもそれ以外は柔和な顔じゃなくてずっと不機嫌だった印象。三洲の屈折したところとか二面性は私にはそこまで感じられなかった。


(7)
前記事でも書きましたが、ギイが託生と夜にデートしていて託生からハグしたり甘えてきたりしているのに、ジェントルマンなギイは無いな。原作最新刊なんて教室のベランダでキスするぐらい待たない男だよ? いろいろ事情はあったんでしょうけども、ギイタクのサービスシーンは(もう敢えてこう書いちゃう。夜のギイタクはどっちもファンサービスだ)ギイが大人しすぎる。新婚5年目とMCさんは言っていたけど、それより熟年夫婦に近い枯れ感かも。すっかり落ち着いちゃった雰囲気だった。肉体で繋がらなくてもなにもしなくてもそっと寄り添っているだけで満足、みたいな。彼ら設定上は18歳、まだ高校三年生なのにっっ!!


(8)
これも前記事で書きましたが、いくら口移しでも糸引くのはなー……「猥雑」なのはタクミくんシリーズらしくない、と思うので好きじゃない。あと、更衣室で三洲が真行寺の背後からボタン嵌めつつ吐息100%で「似合うじゃないか……」と囁いたときにはもうなんか……攻めオーラ全開。元声オタとしてはBLCDの攻め様が受けをいただく前のテンプレ台詞みたいな感じ? 攻め攻めし過ぎてその台詞聴くたび噴きそうになった(爆笑No.1は相楽先輩がギイに言う「この超美少年」で決定ですけど)それから真行寺のギャランドゥはなんとかならんかったんだろうか……。今回の映画が作り手的にはミスシンで真行寺が右の子犬ちゃんなら余計になんとか無駄毛は処理しておいてくれよ……と。嗚呼やっぱりどうにも猥雑だわ。


(9)
もうただ萌えるか萌えないかの超個人的好みで申し訳ないけど、結局はそういうものですよ。いくら他が良くても好みは動かせない。てコトで、三洲と真行寺の向かい合ったときの横顔が好きじゃない。うーん……って首捻りながらナナメ視線に腕組んじゃう感じ。託生とギイの二人は正面からみた顔よりむしろ横顔で向き合った画が好きだし萌えるから、余計にそういう場面での横顔比較はしちゃうな。


(10)
苦肉の策の「最後はギイタクで締めたからタクミくんシリーズですよ」……好きじゃないなあ。そりゃギイタクでラストカットはうれしいですよ。うれしいけど、だったらギイタクが星空眺めてる場面を無理に分割してそのあいだに三洲と真行寺のラストシーンを挟まないでほしかった。もしこの話が三洲と真行寺のシーンで終わっていたとしても、それを残念に思ってブーブー言ったとしても、きっと心のどこかでは今回は『Pure』だしまあ仕方無いよね、と納得は出来たと思う。



最終的には、映画館に何回も通ってまでリピートしたい作品か? と、自分に問うたときの気持ちが作品への素直な評価だと思います。今回は、「試写会で6回観たし、あとはDVD待ちでいいや」、です。


日舞台挨拶で1回、1/3は登壇者次第、大阪公開中に1回は観るつもりですがそれ以上増やす予定は無いかな今のところ。




ここまで好きじゃなかった部分ばかり列挙しましたが、それでは逆に、今回の『Pure』で評価したいところもすこしだけ。


「ロケーション」と「音楽」、これは今までのシリーズ三作で最高レベルに達したと思います。



まずは「ロケーション」
今作ではほぼオールブリティッシュヒルズロケが実現したことで物語のなかの世界観が統一されたと感じました。特に学校部分は同じコンセプトの元に造られた建物や敷地内を使ったので、外観や内部、室内の調度品、そして風景、どれをとっても違和感浮き感が無いんです。作品79分間のほとんどを占める学校生活において、ひとつの世界観が違和感無く綺麗にずっと保たれている。


たとえば虹色の寮部屋ロケに使われていた千葉某所のログハウス。あれなんかはまだ祠堂の世界観を大きく外すものでは無かったのですが、それでもどうみたって3階じゃない、とかツッコミどころ満載。美貌の寮部屋は、あそこの部分だけロケなのにまるでスタジオセットのような若干の安っぽさや作り物感が目立ってしまい、BHを使用した学校部分と、旧学習院初等科正堂を使用した音楽堂部分に比べると祠堂学院の世界観を寮の部分だけは損なっていたように思います。


Pureでは、架空のはずの祠堂学院をブリティッシュヒルズという現存する有りモノに、そのまんま全部填め込んでしまったワケです。これは画的にものすごい説得力を持つことになりました。若い役者たちの未熟な部分足りない部分を、ブリティッシュヒルズというとんでもないリアルファンタジーが補い埋めてくれる。頼もしい援護射撃。個人的には今作でギイタクが出てこなくて退屈に感じた部分でも、BHの美しい景色と建物を観ているだけで十分目の保養になりました(笑)。



そして「音楽」
前二作でお馴染みとなったあのシリーズメインテーマを始めとする既存の音楽に、今作では予告で使用され音楽だけで泣けると評判の新曲を加えて、ピアノの低音が心地良く響く特徴的な曲や他にも数曲新しいものが追加されたと思われます。特に印象的的なのがPureのメインテーマと思われるあの曲。音楽的に詳しいことは説明出来ないですが、とても壮大で盛り上がりのあるドラマチックな曲ですよね。これまでは派手さは無いけれど淡々としたあたたかさやせつなさを感じさせる曲調のものが多かったような気がしますが、今回一気に曲のスケールとドラマ性がぐっと広がったように思います。


故に劇中の「ここがキメどころだぞ!」で3回も使用されていましたが、個人的に3回は使いすぎ。だってthe othersideを3回も使ったらさすがに飽きるでしょ(笑)? 予告にあった真行寺疾走の場面ではこのテーマ曲と画とがピタリとはまって実に心震わせる名シーンになっていたけれど、それ以外は画ヅラがあのドラマチックな音楽に負けていると感じました。美しい風景と印象的な音楽の繰り返しで、ともすれば冗長な若い役者の演技の余白を埋める。これは君メロを観たときにも強く感じた部分なのできっといわゆる横井マジックの一種なのだと思います。



ロケーションと音楽の秀逸さに比べて、残念なのが衣装と脚本。


衣装は本気で二度と衣装の仕事をするなと言いたいぐらい酷い。今回は、託生に関してはおそらく衣装を合わせる時間すら無くて、だからこれまでに使用した衣装の使い回しが多かったんでしょう。この使い回し衣装はいい。なのに何故新しく用意したのが「LOVE」?!!! 他のキャストも私服は総じて酷い。これまで三作で衣装は最低です。


脚本は……やっぱり1作目のひとなんだなあと思える感じがチラホラ。エピソードの選定は横井監督がかなり関わっていると信じていますが、オリジナルで付け加えた場面になると、やっぱりなんか台詞が変です。ただ台本の最終稿がどうなっていても現場で変わったり追加されたり、さらには編集段階で切り貼りされて前後入り乱れることもあるでしょうし台本未見なのでこればっかりは一概に脚本のせいとも言えないかも。




Pureの撮影で得た最大の収穫はオールブリティッシュヒルズロケ。これで制作陣にノウハウは蓄積されたはずです。万全の体制でもって「次」のオールブリティッシュヒルズロケに臨んでいただきたいですね。


次記事は現代腐女子のおとぎ話としてのタクミくんシリーズについて。