そして青空は永遠に晴れたまま。

奇跡の2.5次元役者・浜尾京介の芸能活動復帰をのんびり待機中。

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青空本編完全ネタバレ感想その17です。託生とギイ、兄のお墓へ。
すでにDVDも発売済みですのでそちらを観ながらごらんいただけると幸いです。


これまでの感想はこちら。
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まずはお約束の長ーい注意書きから。
駄目だなって思ったら、即引き返して読まないでください。




※映画版『あの、晴れた青空』の完全ネタバレになります。
※映画化されていない他の原作エピソードも遠慮無くネタバレします。
※映画撮影時のメイキング的なエピソードも随時盛り込みます。
※映画版青空に関係無い話題にも必要があればどんどん脱線します。
※原作・映画版ともにギイタク至上の主観的感想です。
※あくまでも根本的には腐女子が書く感想です。お察しください。
※なので、ギイタクのラブシーンは当然ですが大好物ですw




こちらの【青空あらすじまとめ】の流れに沿って感想を書いていきますのでよろしければご参照ください。







(40)
ジュンプラ続き。祠堂学院のバス停前にやってくる託生とギイ。うつむきがちな託生はどこか迷っているようなぎこちなく硬い表情です。そんな託生をギイが後ろから静かに、でもとても愛おしげな顔で見守っています。「行ってこいよ」、兄の墓参りへと送り出すギイのその声に振り返った託生。まだすこし不安げな様子に、ギイは黙ったままゆっくり頷いてみせます。その穏やかだけど自分への愛情に満ちた迷いの無いギイの眼差しに、安心したのか託生もそっと頷いて微笑むことが出来たのです。ギイの愛で背中をやさしく押してもらった託生は、兄の墓参りへ行くための心の一歩をようやく踏み出せたのでした。しっかり頷き返した託生をみてギイはふわっと笑います。その視界に入ってきたものに一瞬驚いた顔をしてまた微笑むギイ。託生がギイの視線の先を追いかけてみると、雲と雲の切れ間にいつのまにか広がっていたのは、――あの、晴れた青空。二人はどこか感慨深げにその空をみつめるのでした。



二人がはじめての夜を過ごした翌朝ですね。託生の秘密を知った上で、これまで託生がずっと避けていた兄の墓参りへと送り出すギイです。ギイ君ってば託生と心も身体もひとつになったからっていきなり随分と余裕なところみせちゃってますよね、コレ。「生きていたら最大のライバルだったな」って、ここでギイは託生に言ってるんです。死んだ者には勝てないと、兄の存在が託生との恋愛において今後も最大の障害になると、すでにこのとき無意識のうちにも予見していたのかもしれません。託生にとっての「兄のこと」の取り扱いを誤って破局寸前の危機に陥ったのが謂わば今回の青空なワケですからね。このときのギイには自信があったのかな。託生が兄に会いに行ってももう過去に囚われることは無い、自分への愛は揺らいだりしない、という自信がこのときあったんでしょうか。それともかなり強がってるけど託生の前では寛大なところをみせようって彼氏的にカッコつけてみたんでしょうか(笑)。身も心も結ばれた翌日に恋人を最大のライバルが眠る場所へ一人で行くように送り出したギイ、というのはなんか凄くオトナだよなあと思います。一緒についていくまで一年かけてるんだもんね。これこそがギイの誠意というか、託生を物凄く大事にしている証し、なのかなあ……やっぱオトナだなあ。


ちなみにメイキングやコメンタリーでも明らかになっていますが、ここは青空のラストカットです。撮影最終日、託生はここでクランクアップ。ギイは撮り直しか撮り残しのシーンがあったのかこの撮影後に寮のロケ地へ戻ってクランクアップなんですが、託生とギイとしてはここが二人のラストカットなんですね。そして青空パンフレットにも載っている裏話によると、撮影最終日は朝から雨が降っていて止んだあと撮影が始まっても空はどんよりと曇っていたのに、このラストカットを撮り始めると、空を覆っていた雲の切れ間から光が射して晴れた青空の画が撮れたというミラクルが起きていたそうです。DVDの映像で確認すると、上と下にはまだ雲があるのにその真ん中に切れ間が出来て淡い水色をした雨上がりの綺麗な青空が広がっているという、奇蹟的な画になっているんですよね。以前にも触れましたが(2011/09/22付け記事)、このミラクルによって撮られた空こそが、タイトル通り、〝あの、晴れた青空〟なんだと、私はそう思います。すくなくとも映画版青空にとってはここがそう。正直なところ、ここのシーンで青空をみつめるギイの、なんとも言えない、ともすれば涙ぐんでるんじゃないかとも思える程に感慨深そうな表情をみると、嗚呼これギイよりも大ちゃん成分強いなあ……って思っちゃったんですね。それは作品の完成度としてはいけないことなのかもしれないけど、彼らにとってのラストカットで、奇蹟のように眼前に広がったあの晴れた青空をみてしまったら、そりゃああんな顔しちゃうよね、って。対照的にここが正真正銘葉山託生としてのラストカットだったはまおさんは、感慨深そうだけど、でも本当に清々しい良い表情しています。真っ直ぐに前を向いているあの笑顔からは本人の強さすら感じました。大ちゃんの弱さがギイの託生を想う故の弱さでもあり、はまおさんの強さはギイの愛を得た託生の強さでもある。役とともに過ごしてきた彼らの三年間が、ラストカットのこの瞬間にすら溢れかえっているんだな……って、やっぱり私自身も感慨深くなりました。


それとこのシーンの青空。試写会なんかで観たときは、照明環境があまりよくなかったせいかはっきり青空だとはわからなかったんですが、DVDであらためて観てみると確かに上下は白い雲だけど真ん中は綺麗に晴れているんですね。これで思い出したのが、モーゼが海を割って約束の地へと続く道を創ったあの画です。託生とギイの前に広がった雲の切れ間に垣間見えたあの晴れた青空は、彼らを約束の地へと導く神様からの贈り物のようにみえたんですよ。彼らにとっての約束の地、それこそが〝永遠〟だったのかなあ……なんて。



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ジュンプラさらに続き。青空を見上げる二人の後ろ姿に託生のナレーションがかぶりながら、流れてくるのは美貌チャプター12、あの共犯者のテーマのやさしい音色。映像は切り替わり、一年前の託生が花束を抱えて一人、兄の墓所へと続く道を歩いていきます。その足取りはどこかたどたどしく戸惑っているようでもあり、不安げにも寂しげにもみえます。そして歩く姿はいつしか一年前の託生が現在の託生に変わり……その傍には、ギイがいる。託生の半歩先を歩いて、時折チラリと託生を振り返って確認してみせるギイ。託生の足取りにはもう戸惑いや不安など感じられません。一年前とは違う。現在(いま)はギイが傍にいてくれるから。だから兄にもこう言えるんですね、「兄さん、ぼくはもう、兄さんを恨んでなんかない。もう大丈夫。だって、兄さんに胸を張って紹介できる大事なひとと一緒だから―」



短いシーンですが非常に印象的な場面です。まず一年前の託生が一人でお墓への道を歩いているカット、この託生をみているだけでもう泣けてきます。ギイに兄の元へと送り出してもらったものの、あの日以来ずっと拒み続けた兄の魂と対面することへの躊躇いや戸惑い、怖れをも託生が一人歩く姿から感じるんですね。あまりに頼りなげで胸がギュッと痛みます。でもその姿にかぶさるようにして現在の託生に変わると、託生は一人じゃない。横にはギイがいて託生をあらゆるものから護るかのように半歩前を歩いていき、託生はギイに遅れることなく同じ歩調で後ろをついていく。この途中でギイがチラッと託生をみるのがね、ただの亭主関白じゃないんだよってわかるんですよ。兄に会いに行くという託生の気持ちをちゃんと思い遣ってくれてる。だからもう託生はなにも怖れたり不安に思ったりしません。このシーン、浜尾託生のナレーションがもうもうもう!!!! どうやったらあんなやさしい声が出るんだろうってくらいに穏やかでやさしいナレーションなんですね。特に「もう大丈夫」がこれぞ浜尾託生!! な言い回しのトーンで大好きです。ここ、あまりにもやさしいナレーションだから、共犯者のテーマのこれまたやさしい音色と相まって初見時は「もう大丈夫」から涙腺決壊しラストまでずっと泣きっぱなしでした。




ここからまたちょっと長くなりそうなので一度更新。
2分足らずのシーンでこれだけ語れる青空、次がいよいよラストになります。