そして青空は永遠に晴れたまま。

奇跡の2.5次元役者・浜尾京介の芸能活動復帰をのんびり待機中。

110224

映画タクミくんプチコラムその18。
〝音楽に表れた虹色・美貌とPureの違い〟



おひさしぶりのプチコラムです。前回分が書きかけのところで止まったままなのは百も承知なのですが、もうちょっと寝かせておいて思い出した頃に続きをアップするつもりです。


というコトで、2011年初のタクミくんプチコラムは虹色・美貌そしてPureに使用された〝音楽〟に注目し、そこから自分が感じた作品としての『Pure』の違和感その理由を明らかにしてみたいと思います。


以下、注意事項。


※映画版『Pure』ネタバレがあります
※映画版『Pure』を絶賛していません
※原作・映画版ともにギイタク至上主観的意見です


以上のキーワードで駄目だと思ったら読まないでください。


嫌なものを敢えて読むのはマゾ行為だぞ☆






そもそもこの〝音楽〟に注目しようと思ったきっかけはブログの読者さんにいただいたメッセージから。「『Pure』を観て挿入音楽の多さがとても気になった」、と書かれてあったんです。Pureで使われた音楽に関しては新曲が多かったことばかりが印象に残っていたのですが、そう言われてみれば、そうだったような……その時点では本編に関する自分の記憶に自信が無かったんですよね。大阪公開初日に3回連続で本編を観る機会があったので、そのうち2回分を音楽を聴き取ることに集中してみました。


そうしたら、はっきりわかっちゃったんですよ。(あくまでも)自分にとってのPureの違和感の謎が!!


その違和感をもっと具体的にするためにはさらに検証です。空き時間に書き留めたメモを元にPureでの使用曲の回数、種類、タイミングをまとめ直し、虹色と美貌本編の使用曲についての検証もあらためて行いました。すると音楽面での構成で、虹色・美貌とPureとはあきらかに別物に感じられるように作ってあるのではないか、という結論に至ったんです。


だって、虹色美貌からPureへの継続曲が2つだけなんだもの。それ以外はすべてPure新曲。そりゃー別物感あるよね〜。



以下、各作品内で使用された音楽について私的まとめ。


                                                                • -


★虹色:74分中18回
 シリーズメインテーマ、サブテーマ、パーティーBGM
 虹色の硝子のテーマ、主題歌『the otherside』
 以上を含む10曲使用


★美貌:82分中20回
 シリーズメインテーマ、サブテーマ、
 美貌のディテイルのテーマ、挿入歌『the otherside』
 以上を含む9曲使用(うち、新曲4曲)


★Pure:79分中18回
 シリーズメインテーマ、サブテーマ、
 Pureメインテーマを含む7曲使用(うち、新曲5曲)
 主題歌、挿入歌無し

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これまでの三作ともに共通して使用されているのはシリーズメインテーマとサブテーマです。(便宜上、美貌のチャプターと音声選択画面で流れている曲を勝手に『シリーズサブテーマ』と呼んでいます)この2曲については、まずアバンでの導入にメインテーマ、続いて使用されるのがサブテーマというこの順番も全て同じ。虹色では主題歌の『the otherside』がED曲になっていますが、美貌、PureではシリーズメインテーマがEDに使用されました。今後作品が続くとしたらEDもメインテーマで統一されそうですね。



横井監督体制となって最初の作品であった虹色では、シリーズメインテーマとして今やお馴染みとなったあの楽曲をマイナー調でスローにしたものや、主旋律をアレンジしたものなど、主にメインテーマに似た旋律の曲が多く使われています。そんななか、メインテーマアレンジを除いて唯一虹色だけにしか使用されていない楽曲がありました。鈴木が学校を去る場面とラスト、鈴木の手紙が読まれる場面で流されている曲です。これを私は『虹色の硝子のテーマ』と呼んでいます。


続く横井監督二作目の美貌では新曲といえるものは大体4つ。そのうち1つは虹色で使われたものをマイナーアレンジしていて、2つは曲というよりひとつのフレーズような感じで短い音楽なので、完全新曲として印象に残るのは、最後の5分に流れるあの曲、『共犯者のテーマ』……ですね。きっともう耳に焼き付くぐらい何百回と繰り返し聴かれている方も多いことでしょう。他に美貌で印象的な音楽といえば、虹色に続き今度は挿入歌として使用された『the otherside』ですよね!! アカペラの歌い出し部分はその場面のギイの心情とリンクしまくって鳥肌モノで、個人的には使い方として神がかっていると言っても過言では無いと思います。



そして、Pureです。継続された既存曲は、シリーズメインテーマとサブテーマ、この2曲のみですね。それ以外は完全に新曲となっています。Pureでは予告で使用されていた『Pureのメインテーマ』に、高林初登場のシーンで最初に掛かる『Pureサブテーマ』、この2曲だけでもこれまでのものとはガラッと雰囲気が違う。


それから今回の新曲について意識して聴いてみて驚いたこと。なんとですね、Pureサブテーマ以外はすべて3拍子の曲なんです。(4分の3拍子か8分の6拍子か正確にはわかりませんが…)Pureメインテーマは途中変則的な拍数部分がありますが、予告でも使われていた一番メインとして押し出されている部分は3拍子。Pureサブテーマも3連符が延々と続くのでうっかりこれも3拍子かと勘違いしそうになりました。このサブテーマ、3連符が繰り返される単調なテンポなのにとにかく1曲が長い。しかもそれをフルで使う。


中盤は、Puerサブテーマが2回連続で流されっぱなしなのです。


高林登場に始まり、高林&吉沢組解決編で終わる、音楽祭までの〝魔の中盤〟で私が異様に眠気に襲われた理由は、この長尺なサブテーマの連続と3拍子ばかりの新曲にもあるのではないかと。そう、Pure中盤で個人的に感じた倦怠感や違和感は、アバン以降約50分間託生が一切出てこなくて、ギイや赤池の出番も少なくて、ほぼ新顔ばかりの出演者たちに加えて、3拍子の耳慣れない新曲たちというダブルコンボ攻撃によるものであったと思われます。ここまで新曲を3拍子で揃えられると、あーコレ絶対意図的にわざとやってるんだろうな監督、と思ってしまうワケで。



どんな楽器を使っているかとか音楽のジャンルとか、そういうのは上手く言えませんが、今回は随分主張の強い曲に変わりましたね。美貌と虹色での使用曲は、短く且つ効果的に場面を盛り上げつつ、出しゃばらずに映像に添えられる「BGM」と呼ぶに相応しい使われ方だったんだなあと、今となっては思います。……あくまで個人的には(笑)。これ以上はPureのDVD発売を待って検証しないとわかりませんが、Pureは、音楽の流れている時間が圧倒的に長いと感じられました。


最初に作品を観たときから新曲が多いとは思っていたんですが、それでもちゃんと最初と最後と決め所はこれまでどおりの構造を踏襲しているんですよ。その分中盤が妙に居心地悪い感じがする。シリーズメインテーマは同時に『託生とギイのテーマ』でもあると思っていますが、これについては基本これまでのフォーマットに則った使われ方(アバンで最初に流れてくる曲、託生とギイの愛情に関わるシーンで使われる曲、そして美貌と同じくEDテーマ)これをPureでも崩していないので、束の間でも安心出来ます。


しかしサブテーマに関してはこれまたちょっと違和感が。


ここまで新曲で雰囲気を変えてきたはずのPureで、真行寺が三洲に恋に落ちるという大事なシーンで使われたのがシリーズサブテーマの後半部分なんですよね。(……これ、実は私は非常に気に入らない)どうせならここも新曲にしておけばいいのにね。さらにサブテーマが使用されているのが、三洲と真行寺の生徒会室での例のシーンとラスト前、生徒会室で眠る真行寺を見つめる三洲の回想シーンの2回。雰囲気を盛り上げる派手な新曲は加わったけれど、物語の起承転結その起と結、肝心な部分は結局シリーズ共通曲に頼っている感じです。だからこそ中盤、新曲を延々と流してる部分の浮き感が半端無い。


これが自分にとっての違和感の正体でした。



以上から結論としては、虹色と美貌の音楽が継続性を感じさせるのは当然であり、シリーズとして正しく続編であると耳からも感じられる安心の作りになっている。しかも虹色と美貌には『the otherside』のボーカル曲も共通している。それに対してPureは雰囲気の違う新曲尽くし。でもシリーズに一貫するメインテーマとサブテーマを継続させたことで一応続き物としての体裁は整えてみた。……今回は「次」も見据えて音楽的な面でもいろいろ実験してみたのではないでしょうかね。その実験結果が、良い方向に活かされることを願っています。でも「次」は、台詞を言っているシーンには主張の強い音楽を出来るだけかぶせないようにしてほしいです。


……だって、後半の託生と真行寺がしゃべっているシーンで途中まで流されていたPureサブテーマ、本気で邪魔だったもの!!