そして青空は永遠に晴れたまま。

奇跡の2.5次元役者・浜尾京介の芸能活動復帰をのんびり待機中。

110719


青空本編完全ネタバレ感想その5です。
週末に向けてとりあえずギイのゼロ番まで辿り着いておこう。


これまでの感想はこちら→ 【その1】 【その2】 【その3】 【その4



まずはお約束の長ーい注意書きから。
駄目だなって思ったら、即引き返して読まないでください。




※映画版『あの、晴れた青空』の完全ネタバレになります。
※映画化されていない他の原作エピソードも遠慮無くネタバレします。
※映画撮影時のメイキング的なエピソードも随時盛り込みます。
※映画版青空に関係無い話題にも必要があればどんどん脱線します。
※原作・映画版ともにギイタク至上の主観的感想です。
※あくまでも根本的には腐女子が書く感想です。お察しください。
※なので、ギイタクのラブシーンは当然ですが大好物ですw




こちらの【青空あらすじまとめ】の流れに沿って感想を書いていきますのでよろしければご参照ください。






(12)
時間軸は現在に戻って、270号室に帰ってきた託生。部屋には三洲がいました。手に持っていた母からの手紙を後ろにやろうとしたところを三洲に目敏くみつけられ、「後ろめたいことでもあるのか」と突っ込まれます。いくら世間知らずでにぶちんな託生でもそれが手紙では無くリンリンのことを指しているのにはすぐに気づいて、三洲のカマかけに惑わされることなく素直な気持ちで答えていくのです。



この場面、原作やドラマCDから受ける三洲のイメージとはちょっと違ったんですよね。特に原作を忠実に音源化したドラマCDの三洲と比べると、映画版の彼には余裕が無い。最初に三洲が託生に投げ掛けた「俺にうしろめたいことでもあるのか」、ここからすでに三洲のいわゆる〝猫かぶり〟な外面を装えていないんです。ここね、ドラマCDだと託生をからかうみたいな軽い口調なんですよ。すべてを見透かしているような余裕がこのときの三洲にはありますし、この場面、原作でも「みごとなまでの柔和な笑顔」と描写される程、完璧モードな外面でもって三洲は心情的にリードした状態で託生に最初は接しています。そのみごとなまでの柔和な外面と圧倒的な余裕が映画の三洲からは感じられなかったなあ。


三洲にとって真に気掛かりなことである、「最近めっきり真行寺と仲が良いんだな」という本音の部分ですが、原作では託生が三洲のカマかけであっさり真行寺の話を振っても三洲は即それには乗っかりません。ひとしきりリンリン絡みで他愛もない会話をしたあとさらっと訊いてくるんですね。託生はそんな三洲の変化に、「めくらましに引っ掛かった」ような気にさせられています。やはりここまで展開をリードしているのは三洲。だからこそ、そのあとの「三洲くんに翻弄されてるのは、真行寺くんだけじゃないよね」、という託生の台詞が生きてくるんだと思うんですが、映画版ではこの台詞の前の他愛もない会話部分がさくっとカットされている上に、三洲の態度が柔和どころか妙に素っ気無く不機嫌っぽいのでこの場面で託生が三洲にさほど翻弄されているようには感じないんです。むしろ、ここでの余裕は託生の方にある。託生は他人との身体的・精神的接触を拒絶してきた数年間である意味無垢なまま純粋培養されました。その純粋故の無神経さが、三洲にとって自分を繕うのに必要な建前の部分に遠慮無く踏み込んできて本音を暴いていくワケですよ。託生の言葉には裏が無い。だから三洲の建前も通じない。思えば美貌で託生と同室になった最初の日、三洲自ら真行寺との関係をわざと明かし託生とギイのことにも言及してチクリとやってみせたあれ。あれは、コイツには自分の手管が通用しないと直感した三洲の本能的な先制攻撃だったのかもしれません。そしてこの場面でも三洲は、裏の無い託生の素直すぎる言葉責め(笑)で、自身の本音を覆い隠す建前に逆に追い詰められることとなり、遂に一番の核心を口にしてしまうんですよね。「惚れてなくてもあいつは俺の所有物だ」、って。


この所有物発言と言えば、皆さん思い浮かべるのはぴゅあ、でしょうけども、実はぴゅあで真行寺本人に告げるより一ヶ月も前に、託生に向かって宣言してしまっていたんですね。これってもしかしなくても無意識に出ちゃった三洲の託生への牽制? いやー意外と青いですよね三洲もね(笑)。特に映画版ではこの三洲の青さが際立っていると思います。ぴゅあ試写会後の感想でも書きましたが、イマイチ映画版の三洲って建前と本音の部分、その二面性の使い分けが薄いんですよね。常に不機嫌、みたいな。それが映画版独自の三洲像ってヤツなのかもしれません。もしくは演者の解釈の問題?ま、あんまりそのへんは突っ込んで考察したこと無いしする気も無いので完全に個人の勝手なイメージですけど。映画版の三洲って随分不器用な子だなって印象なんですよ私。


託生と三洲の、ルームメイトとしての、そして秘密の恋をしている者同士としてのちょっと緊張感のある奇妙な関係をみると、やっぱり前作でも原作「Pure」に忠実に託生と三洲のやりとりをしっかり描いてほしかったなあ……と思わざるを得ません。そこ描かないと駄目でしょ。いや、しつこいけど何度だって言うよ!! 大事なことだからネ!!!! 対託生においていいひとモードでみる三洲は素直に魅力的な人物だと思います。単に私はある種昼ドラめいた三洲の恋愛モードが極端に苦手なだけなんです。



ちなみにこのシーン、託生はベッドに腰掛けて制服を着替えながら話しているんです。脱ぎかけの白いセーターが首のところに引っ掛かって顔が埋もれた状態で、三洲のカマかけにキョトンとして答える託生がものすごーく可愛いので必見!!!!




(13)
三洲が散歩に出かけていなくなった270号室。母からの手紙に同封されていた切符を託生はみつめています。ここで託生が漏らしたひとりごとの「いいか、もう」は、何故か諦めの意味にきこえるイントネーションだったなあ。「(ギイを墓参りに誘わなくても)いいか、もう」にきこえた。実際は、「(ギイの部屋に行っても)いいか、もう(誰にどう思われても)」ですよね。このシーン、はっきりわかるように切符が映っていた記憶が無いので(見逃しただけ?)原作を読んでいないと、なにがもういいのか伝わらないかも? とか思っちゃいました。まあこのあとすぐにゼロ番へ向かう場面へと移り変わるので、託生がそれなりに一大決意をして思い切ってギイの部屋を訪れたんだ、というのはなんとなくわかる……かな?




(14)
ギイの個室である3階のゼロ番へと向かう託生。階段を上るその足もとが映されます。これ、美貌でアメリカ式のキスをされたあとゼロ番を訪れるときと同じ撮り方ですよね。ゼロ番のドアの前でノックするのを躊躇う託生の手がアップで映されるのも美貌と同じ。敢えて美貌になぞらえているのか、それとも撮り方のパターンがこれしか無(自主規制


ここは前者だと仮定して、不安は不安でも美貌のときと今回とでは託生の不安材料がまるで違います。美貌ではギイの突然の変化の理由がわからなくてとにかく不安だった。今回はギイの気持ちを疑ってはいません。二人のあいだにはあの日音楽堂で交わした共犯者の誓いがあるから。昼間温室で人目を忍んで逢っていたのはそれを互いに守っているからです。ただその誓い故に、ギイの部屋を託生の方から訪れてしまうのは誓いを破ることにもなりかねません。そんな自分をギイがみたら怒られたり呆れられたりするかもしれないという不安が託生にはあったんでしょう。(このあとの会話でわかります)だからギイの部屋の前で躊躇してしまう。ダメだ〜って手を引っ込めて、一度は自室へ引き返そうとしてしまう。その託生を、託生と知らずに結果引き留めることになったのが一年生だったのはなんとも皮肉というか不思議なものです。グッジョブ名も無き一年生!!



一年生が勝手にノックしてくれたおかげでドアを開けて出てきたギイと託生の場面は、メイキングで結構ばっちり映っていますよね。あれ、OKカットかなあ? ちょっと自信が無いので名古屋試写で確認しなきゃ!でも本編も大体あんな感じの雰囲気だったと思います。


ドアの向こうにまさかの託生の姿を認めたその瞬間、ギイは目を見開いて心底驚きます。メイキングをコマ送りするとね、大ちゃんギイめっちゃ驚いてるスゲー目ェ見開いてる(笑)。すこしの間ギイが表情を取り繕えない程の驚愕ぶりをみていると、彼らの共犯者の誓いは新学期まもないあの日から今日まできっと人目のある場所では徹底されていたんだろうな、と感じさせられました。目の前にいる託生をみてもこれは都合のいい幻影かもしれない……なーんて思ってたりして。なんたってギイくん結構ロマンチストだから。


託生の発する声を聞いてやっと本物だと信じられたのか、ギイの表情にもいつもの余裕が復活です。「こら、一年なんかにナンパされてんじゃねえよ」、って、超ヨユーだし(笑)。もう若干声も甘くて託生向けのスペシャル仕様になってるし。駄々漏れですよ崎さん(笑)。託生が「そんなんじゃないよ!」と慌てるのをみてニッと微笑むギイの顔!!!!キャー 昼間逢瀬の途中で邪魔されて、心を残したまま別れて、逢いたくて仕方無かった恋人が、なんと自分から来てくれたワケです。そりゃもう絶対捕獲!! ですよね逃がしませんよね!! 「入れよ」「ほらっ」って腕掴んで部屋のなかに押し込んじゃいますよね!!!!


ゼロ番という甘い甘い檻のなかへ自ら捕らわれた託生、もう今夜は逃げられませんよ(笑)。




さあ、次はいよいよ青空前半クライマックス、ゼロ番の夜です!!